勉強は社会人になってから始めた方がトク!忙しい大人の勉強法!

勉強の基本は暗記!テキストは繰り返し読もう!

外交官だった吉田茂の長男で文学者の吉田健一は、数か国語を操る秀才でした。その基本的な勉強方法は、テキストを繰り返し読むことによる暗記だったそうです。もっとも勉強法として暗記を選んだわけではなく、少年時代からの本好きが高じて暗記が得意となったようです。どれほど暗記が得意だったかというと、ケンブリッジ大学を受験する際に、ひと夏で漢文の『四書』のうちの三冊、「大学」「中庸」「論語」を丸暗記したほどだそうです。

「勉強ができる」とはどういうことでしょうか? 国語、英語、社会科、理科はまるきり「暗記していれば」解答できる科目です。数学は覚えるより考える能力が大事だと思われがちですが、それにしてもテキストに書かれている概念や解き方を知らなければ考えることができません。むしろ解き方を覚えることで応用が利きます。大人が資格試験を目指す場合でも、基本はテキストの暗記から始まるのではないでしょうか。趣味の囲碁を習う場合でも、定石を覚えることから始まるはずです。

覚える方法は簡単です。繰り返し読んだり解いたりすれば良いだけです。方法は簡単でも、実践するのは難しいと思われるかもしれませんね。ですがこれ以外に方法はありません。ここでひとつ、迷信をご紹介します。「年を取ると物覚えが悪くなる」というのは、嘘です。なぜそのように思われているかというと、子供時代に比べて大人になると既に知っていることが多いために、新しいことを努力して覚えようとしないからのようです。

子供時代は、出合うものすべてが新鮮と言っても過言ではありません。特に好きなマンガやアニメや歌などは、大人が呆れるほど繰り返し見たり聞いたりするものです。だから覚えてしまいます。大人も同じくらい繰り返して見れば覚えられるのです。ですが新しく出合ったものに対してそれほど新鮮味を感じないので、繰り返したい欲求を覚えず、むしろ面倒に思えてしまうのです。

ここに記憶術のヒントを感じないでしょうか。幼いときから本が好きで自然と暗記もしてしまうような子供は、成長してもその傾向が残ります。つまり、暗記が得意な人は新しいことを覚えるのも得意なのです。反対に暗記する習慣のない人は、やはり新しいことを覚えるのも苦手です。暗記ができる人、すなわち勉強ができる人は、頭が良いわけではありません。単純に「繰り返し読んで暗記する」という努力をしているのです。ただしその努力をあまり苦労に感じていないだけです。

あなたはどちらのタイプでしょうか? 「暗記が苦手だ」と思われたなら、仕方ありません。苦労を苦労と思いつつ努力なさってください。それしか方法はないのですから。テキストを繰り返し読む際のコツは、最初から理解しよう、覚えようと頑張らないことです。初めは「読む」よりも「見る」ことで徐々になじんでいきましょう。なじみができてくれば、難しい内容でも興味がわいて、次第に理解もできるようになります。「理解は覚えた後に自然とできるもの」だと思っていれば、少しは心理的な負担が減らないでしょうか。